呼吸器科コラム

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犬の外鼻孔狭窄

犬の外鼻孔狭窄

短頭種(フレンチブル、パグ、ブルドック、ボストンテリア、ペキニーズ、狆など)では短頭種気道症候群の病態の一つに外鼻孔狭窄を認めることが良くあります。また、シーズーを短頭種と分類するかには議論の余地がありますが、たまにシーズーなど他の犬種でも認めることがあり治療が必要になることがあります。

ある報告によると短頭種気道症候群と診断された犬の77%の割合で外鼻孔狭窄を認めたとされています1

 

 

病態

外鼻孔狭窄は先天的(生まれつき)な問題です。しかし、狭窄があるにも関わらず放置されてしまうと持続的気道抵抗が常に生じているため、鼻より奥の咽喉頭や肺に二次的な病気を引き起こす可能性があります(喉頭虚脱や反転喉頭小嚢、陰圧性肺水腫など)。

 

症状

外鼻孔狭窄では主にスターター(ブーブー、ズーズー、スースーなど)と言われる異常呼吸音が生じます。多くの症例が同時に努力呼吸を認めます。安静に落ち着いて呼吸している時には症状がなくとも、興奮時または運動時に症状が現れるケースも多いです。いびきも認めます。重症例では睡眠呼吸障害(睡眠時に呼吸が不整になる、突然顔を上げて起きてしまう、何度も体勢や寝場所を変え寝付けない、睡眠時無呼吸発作など)を認めることがあります。

基本的に犬は睡眠時には鼻呼吸で呼吸をしています。そのため外鼻孔狭窄など、鼻で呼吸がしづらい場合には寝てしまうと低酸素つまり、苦しくなってしまうことがあるためです。また、すぐに体が熱くなってしまうため、冷たい床を探して寝るようになることも多く認められます。

 

診断方法

診断方法は視診、つまり単純に見た目で判断します。外鼻孔狭窄の重症度は見た目で軽症〜中程度〜重度に分けます。犬種ごと:パグ、フレンチブル、ブルドッグごとに重症度を定めている報告もあります2。アイコンのパグの画像も重度の外鼻孔狭窄に見えますね、、、

色々な鼻の形がありますので少しご紹介します。

 

レントゲンや透視検査にて鼻腔の抵抗を示す所見があるかどうかを確認することもできます。

 

 

治療法

治療法は外科手術です。手術で鼻の入り口を広げます。

様々な術式が報告されていますが、当院では楔状に鼻鏡部を切除し縫合する術式を採用します。どの方法が良い術式かという結論は出ていないのですが、できるだけ奥の方まで広げられる術式であるためです。

黒い鼻であると術後に白く脱色してしまうことがたまにあります。特に手術に電気メスなどを使用するとより鼻の脱色が起こりやすいとは言われていますが、多くのケースでは元に戻ります。

     術前      術後

 

治療の意義

術後は鼻の穴が大きくなりますので、やはり顔の見た目が少し変わってしまいます。見た目を気にされて手術に抵抗のある飼い主様はたまにいらっしゃいますが、やはり「呼吸を楽にすること」に勝るものはないと考えています。また、術後はそれはそれで可愛いものです。

 

短頭種気道症候群では外鼻孔狭窄以外にも軟口蓋過長/肥厚や異常な鼻甲介軟骨(鼻腔狭窄)などが同時に認められることが多いです。

短頭種気道症候群の治療は

1.  呼吸を楽にすること

2.  喉頭への負担を軽減させること(喉頭虚脱の進行抑制)

一つ目の目的がもっとも重要ですが、二つ目の目的も達成しなければいけないポイントです。

その為、外鼻孔狭窄と軟口蓋過長/肥厚が認められる場合、見た目を気にして外鼻孔狭窄に対しては手術をせずに軟口蓋のみを手術するというケースでは、症状はある程度緩和するかもしれませんが、結局のところ外鼻孔狭窄により気道抵抗をゼロにできないので二次的な喉頭への負担は残ってしまいます。ですので、必要な子にはできる限り外鼻孔狭窄の手術も推奨しております。

 

 

おわりに

呼吸を楽に、長く元気でいてもらいたいと願うのであれば、外鼻孔狭窄がある場合、手術を受けていただいた方が良いと考えています。

一度、愛犬の鼻をよく見てあげてください。

 

 

参考文献

  1. Fasanella FJ, Shivley Jm Fau – Wardlaw JL, Wardlaw Jl Fau – Givaruangsawat S, et al: Brachycephalic airway obstructive syndrome in dogs: 90 cases (1991-2008).
  2. Liu NC, Troconis EL, Kalmar L, et al: Conformational risk factors of brachycephalic obstructive airway syndrome (BOAS) in pugs, French bulldogs, and bulldogs. PLoS One 12:e0181928, 2017.